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 3.清水の缶詰産業
日本国の缶詰産業
 我が国では、日清、日露戦争をきっかけに次第に缶詰産業が発展することとなり、大正時代から昭和時代にかけて、我が国の缶詰生産量は大きく増加することとなりました。
 しかし、当時の缶詰産業は輸出産業としての位置づけが大きく、販売の対象となっていたのはもっぱら欧米諸国でした。そこで、缶詰の国内での消費拡大を目的に1922年(大正11年)に現在の缶詰協会の前身となる「缶詰普及協会」が設置されました。
明治になって日本に伝わった、缶詰の技術。清水では、多くの女性に支えられて発展しました。
 「昭和のはじめの写真なんですけども、この9人の方が並んだ写真があるんですけども、この中で後ろの一番右側ですね。ちょっと小柄の男性の方がいるんですけれども、この方、村上芳雄(よしお)さんといいます。
 静岡県の技師の方なんですけども、この方が中心になって、マグロの油漬け缶詰の製法を開発したそうです。
 昭和4年のことです。

 その下に写真が2つ並んでおりますけども、この左側のものですね、今の焼津水産高校で製品化を進めて、マグロの油漬け缶詰が完成した、ということですね。
 開けてから味付けがしやすいということで、油漬けにしたようです。」
 
 「さあ、そしてその次はどのようになっていきますでしょうか。」
 「こちらに、まず右手にすぐ大きなパネル写真がありますけれども、50人くらいですかね、女性を含めて、割烹着姿の人が並んでおりますけども、これが昭和5年ですね。初めて静岡からアメリカに向けてマグロのツナ缶が輸出されたころの、清水食品株式会社の全職員だそうです。」
 「後ろに写っている建物は、まさにこの記念館ですね。」
 「そうですね。この缶詰記念館の建物が現役だったころの写真ですね。」
 「ほとんど女性の方ですね。」
 
「そうですね。この缶詰産業というのは、時代を反映しているんですけれども、『女性の生活を安定させるためにどういう風にしたらいいか』ということを考えて創出された産業だそうです。といいますのは、昭和5年当時というと、世界恐慌があった時代。それから、昭和6年には満州事変が起こっておりますので、男性が戦争に行ってしまって、女性が内地に残る、という状況になっておりました。ですので、どうやって生活していったらいいかということを考えて、この缶詰産業というのは作られたと言われています。」
「はい。」
 
 館内には、当時使われた道具類も展示されています。
マグロフレーク
手動選別用ふるい
はかり
まな板とマグロ、カツオ肉片修正用ナイフ
      マグロ精節肉手詰用切り台
 「こちらにですね、当時缶詰を作るために使われていた道具類が多くあるんですけども、包丁類、それから肉をそぎ落とすものとか、いろいろあるんですけども、一番見ていただきたいのがこれですね。
 『マグロ精節肉 手詰用切り台』という風に、難しいことが書いてありますけれど、細長い台の両側に板が5センチくらいの間隔でずーっと立ててありまして、その間に包丁が置いてあるものなんですけども、これは、マグロのゆでた切り身を長いものをドサン、と置きまして、その切り身に対して、直角に等間隔で包丁を入れていくための機械ですね。
 この包丁を入れた間隔が、缶詰の高さになっていた、ということです。
 こうしておきますと、誰でも女性が同じ幅でマグロの切り身を切り出すことができて、同じように缶詰に詰めることができたという、そのための機械です。」
 「刺さっている包丁が、かなり大きいですね。」
 「そうですね。かなりいろんな包丁があるんですけれども、この大きな包丁、手前に二つ並んでいますけれども、真ん中がこうへこんでいる。」
 「そうですね。普通の出刃包丁なんかと刃の反り方が逆さまですね。」
 「使ってこうなったんです。」
 「減ったわけですか。」
 「減ったんです。ですから、かなり仕事に使われてきた道具だということが分かります。」
 
 「こういった小さいものについては、骨に付いた肉を取ったりとか、そういうものに使われていたということです。」
 「曲がっていたり、長細かったり、さまざまですね。」
 「はい。『曲がり』という風に呼んでいるものなんですけども、こういうものは骨にくっついている肉を本当にこそげ取るといいますか、そういうことに使われていたものなんですね。」
 「無駄なく使っているわけですね。」
 「ああいうところがおいしそうです。」
 
 「さぁ、そしてこちらには、包丁とはまた違った、平たい棒のような、先っぽが丸くなったようなものがありますが、これは何でしょう。」
 「これは打検棒(だけんぼう)というんですけども、出来上がった缶詰を並べて置いて、上の部分の腹をトントントンと、打検士(だけんし)という方が叩いていきます。
 
 
 その叩いたときの音によって、中に入れてあるものの量が適正な量が入っているか、それから腐っていないかを判断するためのものだそうです。」
 「音だけで判断するわけですか。」
 「音だけで判断する。今でも打検士の方っていうのは、いるそうです。特殊技能ですね。」
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税理士法人森田いそべ会計
〒424-0816
静岡市清水区真砂町4-23
TEL.054-364-0891
代表 森田行泰
税理士
社員 磯部和明
公認会計士・税理士

1.各種税務相談・税務申告
2.記帳業務
 3.給与計算・決算指導

■東海税理士会所属
■日本公認会計士協会所属
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