第三十六話 なぞの豪族『廬原(いほはら)氏』の痕跡
静岡市埋蔵文化財センター
住 所:〒424-0032
静岡県静岡市清水区横砂東町33-2
電話番号:054-367-9436
営業時間:通年 9:00~17:15
定 休 日:土曜~日曜/祝祭日
興津駅出口から徒歩約27分
清水(静岡県)駅出口から徒歩約43分
新清水駅出口から徒歩約51分
特 徴:駐車場あり
目 次
静岡市埋蔵文化財センターを訪ねるのは三池平古墳の取材に来て以来であります。前回同様、だれもいない文化財センターの中を黙々と写真を撮ってまいりました。
さて、奈良時代の前の古墳(飛鳥・白鳳)時代に庵原の近くの尾羽地区に巨大な寺院の廃墟が見つかったそうです。名づけて『尾羽廃寺』という静岡県最古の寺院跡であります。
古墳時代の『尾羽廃寺』は現代の寺院と比べて、かなりの大きさの寺院であります。古墳時代の前は弥生土器の生まれた弥生時代であります。ようやく、農耕が始まり竪穴式住居に住んでいた時代であります。
文明のあけぼの古墳時代の巨大な『尾羽廃寺』には古代ロマンが漂います。
『尾羽廃寺』には大量の瓦が使われておりました。さらに、大規模な『尾羽廃寺』の建設には、少し前の弥生時代とは違う驚くべき建築技術の進歩が確認でるのです。『瓦(かわら)』とか『礎石(そせき)』を置くという、弥生時代には考えらえない技術がこの頃から始まったのであります。
『尾羽廃寺』から大量の瓦が発掘されましたが、この瓦を造った痕跡も発見されました。その内の一つ『東山田3号古窯跡』はそのまま型取りされ、静岡市埋蔵文化財センターに展示されております。
そして、『東山田3号古窯跡』は『東山田3号古窯跡公園』として残されおります。
縄文土器・弥生土器・土師器(はじき)、これらは程度の差こそあれ、広い意味の野焼きであります。これに対して、須恵器(すえき)は登り窯を使って製作されます。この技術を使って瓦が制作されました。静岡市埋蔵文化財センター では各種土器が展示されているばかりでなく、実際に各種土器と瓦の破片を触ることができます。写真は、古墳時代の須恵器壺(東久佐奈岐:ひがしくさなぎ5号墳出土)であります。
古墳時代の謎の豪族、廬原(いほはら)氏は朝鮮まで出向き『白村江の戦い』に参加しております。さらに、先祖はヤマトタケルに仕えていたとか、一族からは国造(くにのみやつこ)を輩出していたとかがわかっております。しかし謎の豪族・廬原氏は地元でもほとんど知られぬまま、その痕跡の一部が静岡市埋蔵文化財センターに展示されております。