(清水歴史探訪より)
鉄舟寺には、古くから伝わる教本等、様々な文化財が残されていました。
「まあ教本としてはね、やはり鳥羽上皇(1103-1156)の頃の法華経、通称久能寺教と呼んでいる法華経がね、一番大変な立派な物(国宝)ですね。それ以外の物でも、たくさんの物がね、実は名前は書いてはなくても残っているんです。紺紙金泥(こんしこんでい)のものや、立派な物が残っています。それから、大般若経も600巻全部残っていますからね。あちらこちらにない物が全部残っていますね。」
「この法華経久能寺教なんですけれども、荘厳教(そうごんきょう)という風に書かれていることがあるんですが、これはどうしてなのでしょうか?」
「これはね、綺麗な絵が描いてあって、またその紙にも色々な物が刷ってあるでしょう。そういう技術がね、あの時代にあったかと。本当にびっくりしますね。それも金銀使っていますからね。そして鳥羽天皇の為にやったことですね。あの時代のお国の人達が華麗な模様や装飾文様が施してあるので、荘厳教(そうごんきょう)といわれたんでしょうね。」
(注)紺紙金泥(こんしこんでい):紺紙に金泥で経文や仏画などを書いたもの、下のものは鉄舟寺とは関係ない。
(清水歴史探訪より)
「錫杖(しゃくじょう)(国指定の重要文化財)というのが残っているということなんですが」
「錫杖(しゃくじょう)というのは、わたしらが旅する時に杖の上にある頭部の輪形に遊環(ゆかん)が6個または12個通してあり、音が出る仕組みになっている杖(つえ)であります。普通の錫杖(しゃくじょう)ですと三尊物が彫ってあることが多いですね。
これは銅で造ってあり、重要文化財にもなっています。
錫杖(しゃくじょう)は杖ですが、旅をする時の僧侶が持っている物ですよね。一般に錫杖(しゃくじょう)というのは、相当位の高い人が持たれた物でしょうね。誰でもそんな物を持てるわけがないしね。非常に立派な物ですからね。」
600巻残ったということは大変なことですよね。厚さが3センチぐらいで、丈は大体35センチぐらいかな。それで、折りたたんでありますのでね。それは全部筆で書かれているんですよ。一字一行全部ね。書いた人の名前も残っているんです。これは大変なものですよね。」
(注)下の写真は、大般若経と転読のイメージで、鉄舟寺とは関係ありません。
(清水歴史探訪より)
「また近年、静岡市の文化財に指定されましたけれども、坐像があるそうですが。」
「文殊菩薩の坐像ですかね。これは非常に立派な物です。この間大修理をして返ってきていますからね。それからこのお寺に今までに、残っている文化財では千手観音像、県の指定です。」
「古くから伝わっている物の中には、今は博物館に収蔵されている物もあるそうですね。」
「お寺としてはね、貴重な物は博物館へ預かってもらって。取り返しのつかないことのないように、守って行きたいと思いますのですね。立派な法華経も出しっぱなしにしておくわけにはいきませんのでね、たまに皆さんに見て頂けるような機会を作って、公の場所で手にして頂きたいと思っていますがね。」