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3.浄瑠璃『生写朝顔話』

(清水歴史探訪より)

朝顔日記は、生写朝顔日記(しょううつしあさがおにっき)、又は生写朝顔話(しょううつしあさがおばなし)などと言われ、浄瑠璃や歌舞伎の演目として知られています。物語は、脚色として異なるものがいくつか存在しますが、おおむね次のような物です。

(注)「生写朝顔日記」だと6文字の偶数になるため、『生写朝顔話』の5文字奇数に変更したそうです。

 

 今の宮崎県が、日向の国と言われていた頃、藩主の姫、深雪(=朝顔)は宇治川で開かれた蛍狩りで宮城阿曽次郎という武士と恋に落ちます。そして、深雪(=朝顔)は阿曽次郎に朝顔の描かれた扇子を送ります。
 ところが、お家騒動が勃発、二人は明石の港で泣く泣く別れます。
 やがて、深雪(=朝顔)に縁談が持ち上がります。そのお相手こそ、宮城阿曽次郎その人だったのですが、それを知らない深雪(=朝顔)は縁談を嫌い、人知れず城を抜け、阿曽次郎を訪ねて、放浪の旅に出てしまいます。
 時は流れて、深雪(=朝顔)は旅の疲れがたたって眼の光を失い、朝顔と名を変え、門づけに身をやつして東海道は島田の宿にやってきます。
 そこで、ある客に所望されて、琴を奏でながら自らの生涯を謡いますが、実はこの客が深雪(=朝顔)が求め続けていた阿曽次郎でした。阿曽次郎は、朝顔が深雪であることに気づきますが、目の見えない深雪にはわかりません。
 翌朝、阿曽次郎が置いて行った目薬と扇子を受け取った深雪は、その後を追いますが折からの大雨で、大井川が川止めとなってしまいます。
 まさに、求め合う二人の擦れ違いのドラマですが、このあと深雪は、目薬の効き目で光を取戻し、忠実な家来にも助けられて、めでたく阿曽次郎と結ばれ、幕となります。
 物語の中でも、クライマックスとなる島田宿、大井川の段は特に人気のあるということです。
 
 私の勝手な解釈:「生写(しょううつし)朝顔話」の生写とは、生き写し、すなわち本物そっくり、そっくりそのままの意味だと思います。現代風に言えば「実録朝顔話」となるのでしょうか?作り話ではなく、ノンフィクションに該当します。
人形浄瑠璃『生写朝顔日記』について
 
 ネットで『生写朝顔日記(しょううつしあさがおにっき)』を検索したら、人形浄瑠璃 文楽の紹介コーナーがありました。
 
 
 このホームページの演目⇒時代物⇒生写朝顔話に詳しい解説が載っていました。興味のある方は、是非、ご覧下さい。
 
 
 少しだけ、解説をさせていただきます。
宇 治 川 蛍 狩 り の 段
 
深雪と阿曽次郎が初めて出会う場面です。
登場人物は、宮城阿曽次郎、その友人月心、秋月の娘深雪、その乳母浅香。
 名セリフ『思はず見合はす顔と顔、互ひに見とれる目の中に、通ふ心をいは橋の、渡してほしき思ひなり』
 朝顔の歌「露のひぬ間の朝顔を 照らす日かげのつれなきに 哀れ一むら雨のはらはらと降れかし」
 
 
明 石 浦 船 別 れ の 段
 
深雪と阿曽次郎との偶然の再開、そして突然の別れ。
登場人物、宮城阿曽次郎、秋月の娘深雪、明石の船頭。
 
朝顔の歌が書いてある扇子を阿曽次郎の船に投げ込む悲しい別れ。
 
 
 
 
浜 松 小 屋 の 段
 
 『生きて貞女を破らんより、死んで未来の契りを待たん』
盲目となってしまった深雪(=朝顔)と乳母の浅香との偶然の出会い。
人買いの輪抜吉兵衛と乳母浅香との戦い。
登場人物、秋月弓之助の娘深雪がから朝顔に、深雪の乳母浅香、人買いの輪抜吉兵衛。
 
 
嶋 田 宿 笑 い 薬 の 段
 
お家乗っ取りを企む岩代多喜太は、 駒沢次郎左衛門をしまつしよと、藪医者の萩野祐仙と・・・・
戎屋徳右衛門の機転により、・・・笑い薬・・・(抱腹絶倒)
登場人物、下女お鍋、大内家の侍駒沢次郎左衛門(=宮城阿曽次郎)、嶋田宿の主人で浅香の父戎屋徳右衛門、大内家の乗っ取りを企む家中岩代多喜太、怪しげな医者萩野祐仙
 
 
宿 屋 の 段
 
盲目の朝顔(=深雪)と駒沢次郎左衛門(=宮城阿曽次郎)との再会。岩代多喜田が近くにいるので、名をなのれない駒沢次郎左衛門。またもすれ違い。
登場人物、宮城阿曽次郎改め駒沢次郎左衛門、宿屋の主人戎屋(えびすや)徳右衛門、下女のお鍋、深雪改め朝顔、悪役の岩代多喜田。
 
 
大 井 川 の 段
 
深雪が大井川にたどり着いたとき、駒沢(=宮城阿曽次郎)たちはすでに川を渡ってあと。
身を投げようとした深雪を抱きしめる戎屋徳右衛門。
登場人物、秋月弓之助の娘深雪(=朝顔)、元秋月家の奉公人で深雪の乳母浅香の父の戎屋(えびすや)徳右衛門。 
「朝顔日記」のクライマックス「大井川の段」
 
 戎屋(えびすや)徳右衛門に助けられ、その犠牲的行為により目が見えるより、朝顔の目にはじめて映ったのが、「朝顔の松」でした。お暇な方は、島田市博物館の隣りの「朝顔の松公園」を訪れてください。

 爪音は松に聞けとや 春の風
 
初代朝顔の松
嶋田宿 朝顔の松
阿曽次郎
阿曽次郎と深雪
深雪
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