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 2.当時の別荘の敷地
(清水歴史探訪より)
当時の別荘の敷地は、どんな様子だったのでしょうか。柿沼さんにご案内頂きました。
 
「今ちょうど静岡市の埋蔵文化財センターの建物の前に来ているんですけれども、この文化財センターの前庭の部分というのは、井上馨の別荘のどのあたりになるんですか?」
「ここが、ちょうど『長者山』といって、銅像が建っていた場所です。ところで、私も昭和の生まれですから幼少からあったことは覚えていますが、それ以前のことは父から聞いた話になります。」
「ここには山があったんですか?」
「はい、高さ三〇メートル。昔でいう百尺ですね。その頂上に四メートル八〇の銅像が建っていたんです。ちょうど、この辺が山の頂上になりますね。」
「ちょうど、埋蔵文化財センターの建物が頂上の真下と。今は整地されてしまって、平らになってしまいましたね。」
「平らにしてからは、井上さんの四代目の方の住まいと空手道場をあったんです。それも、また取ちゃって、市へ土地を売却して埋蔵文化財センターができたわけです。」
「正門というのはどのあたりなんですか?」
「正門はちょうど今旧一号線の坂の頂上、線路の手前の御影石でできた、鉄の扉が付いた正門だったんです。それ以前は木造だったそうです。昭和8年か9年ごろ、道路を改修工事の時、木造をやめて、鉄の扉にしたわけです。その頂上を、線路伝いに東へ向いて、行き止まりへぶつかって。それを川沿いにずっときて、そしてここへくるわけです。」
「井上橋という橋がですね、あるんですが。」
「あれは後程ね、あそこへ住宅とか造る為に、市で橋を作ったんですよ。記念して『井上』という名前をつけたんです。」
「ではその手前の当たりが入口になっていて」
「そうです」
「ぐうっと周りこんで入ってくるような。」
「約450メートルぐらいここまで来るのにあります。この屋敷が全部で17町歩、17ヘクタールですね。約5万坪。」
「そして、内側のもう一つの門をくぐって本館へ入ってくると。」
「ちょうど今の埋蔵文化財センターの敷地の西側が、今住宅になっていますけど。あそこが本館です。下が百坪、ものすごい建物です。」
「ちょうどここから見渡しますと、ぐるりと山に囲まれているような地形になっているんですけれども。敷地はどこまであったんでしょうか?」
「ちょうど山の下の広い道、このまま道を上へ行くと元の庵原郡庵原村廣瀬・茂畑、という所へ行く。」
「ではその山裾までが全てということですね。」
「そうです。結局、井上馨が最初ここへ屋敷を構えた理由は、北側に山があって、南が海だということで、気候温暖な所で屋敷を造るのにいいと。それとミカン栽培にすごい力を入れていたものですから、それでここを買収して屋敷を造ったわけです。」
「当時も海が見えるような場所だったんですか?」
「この銅像があった長者山の上に登ると、小さい時はよく上に登って、海の方を見たもんです。駿河湾から静岡方面全部見えたんです。銅像そのものも、国道一号線からちょうど見えたんです。ここの屋敷もね、残念ながら戦争で焼けちゃいまして、昭和20年7月7日の朝ですね、七夕の日に全部焼けちゃったんです。」
「七夕空襲ですね。」
「そうです。それから農地解放なんかもあったりして、屋敷の中も変わっちゃいまして。残念ですけれども、これみんな住宅地になっちゃったんです。」
 (清水歴史探訪より)
広大な別荘も、戦火に焼かれ、戦後の改革の波にあらわれて、かつての面影はほとんど残っていません。柿沼さんは、この場所の記録を残すため、当時の詳しい地図を作っていました。
 
「昭和20年を境にした図面です。変わってないのは国道一号線、旧廣瀬道、それらは変わってないもんですから、これを先に書いて段々詰めていったんです。ほぼできあがった段階で、全部徒歩で歩いて測ったんです。ここからここからまでは何歩何歩と全部紙と鉛筆を持って、書き入れていって、うちにきて、メートルで全部換算してそれを計算して合わせていったらほぼ合っていたんです。自分もびっくりでした。」
「埋蔵文化財センターなんですが、これはどの辺りになるんでしょう?」
「この図面がちょうど真ん中が『長者山』とか『米糠山(こぬか山)』になるんですが、このちょうど中央になります。この山を取った後に埋蔵文化財センターができたんです。」
「そのてっぺんに銅像があったわけなんですね。」
「銅像ができてからは、一般の方は『銅像山、銅像山』と言ってましたけど、この山は『米糠山(こぬか山)とか長者山』とか言われておりました。昔からの伝説があって、それでそういう名前で言われておりました。その高さ30メートルの山、その頂上に4メートル80の高さの銅像があったわけです。」
 
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税理士法人森田いそべ会計
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TEL.054-364-0891
代表 森田行泰
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