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 4.明治天皇の玉座
(清水歴史探訪より)
 
 徳川家から手厚い保護を受けてきた清見寺ですが、やがて歴史の大きな波が押し寄せます。
 
 「ここは、書院造(しょいんづくり)の書院っていうことになりますね。今、ご紹介しようとしているのはここにあの1段高いところがありますね。」
 「はい。」
 「通常は、上段(じょうだん)の間って言うんですけど、このお寺さんではここを玉座(ぎょくざ)と表示しています。
 これは、徳川さんが265年で崩壊した後、今度は明治政府になります。新しい政府によって、東京が新しい都になりましたので、天皇様が東京遷都ということで東海道、東京へ向かわれたわけであります。
 天皇様が、この清見寺にお寄りになって小休されました。その時、ここが清見寺のこの上段の間が天皇様の休憩所ということになったのです。依頼、このお寺さんのここは玉座、天皇様の座ということになったのですね。」
「はい。御簾(みす)が下がっていまして、畳の上にさらに畳が敷かれていて、その上にまたさらに敷物があるという形ですね。」
「はい。ですから正確に数えるとこの上段の分が1段、畳が2枚分、座布団が2枚、ということで5段高くなっていますね、はい。」
 「はい。」
 「それから明治天皇がお越しになったところですが、もともと徳川さんがいろいろ関係しているお寺です。ですから、ちょっと気づきにくいんですけど、徳川さんの御紋があるのです。
長押(なげし)の釘隠し
玉座の襖にも葵の御紋が
透かし三つ葉葵
 長押(なげし)の釘隠しはすぐに分かるんですけど、ちょっと見づらいんですけどね、あと1つ、このお部屋の障子の開ける部分のところが全部透かし三つ葉葵っていう形で透かしになっているんです。
 三つ葉葵があって、徳川さんが非常にこの色濃く出たお部屋っていうことになります。」
 「その徳川色の強いお部屋に、明治天皇をお迎えすることになったわけですね。」
 「そうですね。ですから時代が急激に変わったっていうわけですね、はい。
 それからこのお部屋の天井は、『折り上げ格天井(ごうてんじょう)』っていう建築様式でございます。四隅がカーブして中央部の格天井部分に接続しているという、まあ高級な造りということになっております。
おりあげてんじょう(折上天井)
 日本建築において、支輪を湾曲して立上げて1段高くした天井のこと。
 格式の高い部分に用いられることが多く、仏堂の内陣や本尊の上部、書院造
の上段の間などにみられる。2段にしたものは二重天井という。
 それからもう1つ、こちらの欄間に古びたこの板がこう4枚あります。この欄間の板は、古くから残っていた清見ヶ関(きよみがせき)時代の建物の板材なのです。
 実は、慶応3年(1867)に建て替えられた折に、古材を廃物利用しただけなんですが、意外にこの形が最近美術的評価が高いっていうことで見てくれる人がいるんです。
清見ヶ関の礎石
大玄関の血天井
欄間の板材
 先ほどの清見寺の外にある礎石(そせき)と大玄関にある血天井、そして3つ目のこの欄間の板材、この3点が清見ヶ関(きよみがせき)の遺構(いこう)ということで見ていただくことができます。
 それからここに、朝鮮通信使から頂いたっていうものがちょっと展示されています。左側が甕(かめ)、右側が箱っていうことになっています。この甕(かめ)には入っていたものはなんと胡椒(こしょう)なんだそうです。
 向こうは(日本のように仏教の国というよりも)儒教の国ですのでもう肉食はしていたのです。その肉の匂い消しとか保存のためにはどうしても胡椒(こしょう)が必要なんだということです。
 ところが、自分の国では気候的な関係で生産できないんですよ。そこで、インドの方から交易、流通で持ってきます。そうすると、どうしても高価なものになるということで、貴重品だということになります。
 その貴重品を、貴重品だからという判断で持ってきてくれたらしいんです。ところが、日本ではまだ肉食というと、せいぜい鶏ぐらいのものでした。ですから、一般の庶民の人は胡椒(こしょう)なんて使ってないから、朝鮮の方が考えているほどの必要重要度なかったのかもしれません。ですが、向こうの人が一生懸命持ってきてくれた胡椒(こしょう)なんですよね。
 それから大きなこの箱なんですけど、『一木造(いちぼくづくり)の箱』って言って、「1本の丸太をこういう風に削って仕上げた」っていうことです。しかも、蓋つきですので、精度と労働時間がかかったものだろうと言われています。
 中に何が入っていたかはちょっと分からないんですけど、お寺さんでは大事な書類を入れるとか使っていたらしいんですけど、現在はここに朝鮮通信使から頂いたものということで床の間に展示させております。」
 「箱もかなり大きくて、差し渡し1mぐらいありますね。」
 「ありますね。なんか大事なものが入っていたんですかね。」
 「はい。また蓋の部分を見ますと、なんか朝鮮の方のかぶってらっしゃる帽子のような形もありますね。」
 「ああ。これはよくこの近くで見ていただきますと、実なんですよ、木の実なんですよね。でこれがね、桃に見えたり柿に見えたりするんですよね。最近は韓国の方もよくこのお寺にもおいでになりますので、『本当はどうなんですか』ってお聞きしたら、『これは柿です』って。」
 「はい。」
 「柿だそうです。『葉っぱを見れば分かるよ』って言ったけど、判断が難しいんですけど、まあ柿だっていうことですね。」
 「はい。」
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税理士法人森田いそべ会計
〒424-0816
静岡市清水区真砂町4-23
TEL.054-364-0891
代表 森田行泰
税理士
社員 磯部和明
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■東海税理士会所属
■日本公認会計士協会所属
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