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5.義経の笛(『薄墨の笛』)
新羅三郎義光伝来薄墨笛---------鉄舟寺のしおりより
 
 悲劇に武将源義経が牛若丸時代から愛用したといわれる横笛。700年の風月に耐えて、奏者を得ればいまだにさえた音色を惜しむところがない。
 駿河国新風土記の久能寺の条に『源義経所持薄墨の笛、これ笛蝉(笛につく装飾金具)なし、中村式部少輔(しょうほ:律令制で、諸省の次官(すけ)で、大輔(たいふ)の下に位するもの)再興、笛の頭に金にて村の字を置きり』とある。
 また、駿河雑誌漢二十九上有度群の条に義朝朝臣の常に手馴持玉ひし漢竹の蓬調の薄墨と名付けたるを常磐の方より御曹司に伝え置れしを身を放たず携玉ひ」また「浄瑠璃姫別れの悲しみにたえず終にむなしくなれり。母は姫の年ごろ携る所の器物を蓬莱寺に納め薄墨といえる笛は駿河国有度山久能山に納玉云々」と記されてある。
 さらに笛の添え状には、薄墨の笛がそこなわれていたので文禄四年(1595)に駿河国城主中村一氏式部小輔が補修したという記録がある。
 これらによりこの笛は新羅三郎義光伝来のものが源義朝~常磐御前~義経~浄瑠璃姫~久能寺と伝わったことがわかるのである。
源義光
(新羅三郎義光)
源 義家
源 義朝
常盤御前
牛若丸
足柄山で笙の秘曲を伝授する源義光
源義光(=新羅三郎義光:しんらさぶろうよしみつ)
(1045-1127)
 
 源義光は近江国の新羅明神で元服したことから新羅三郎と称しました。源義光は源義家(よしいえ)と兄弟です。源義家は、八幡太郎とも称され、源頼朝や足利尊氏の祖先にもあたるため、武士の神様のような扱いをされています。さて、源義家の曾孫(ひまご)にあたるのが、源義朝です。この源義朝の側室が源義経の母にあたる常盤御前です。
 源義光は、笙(しょう)の笛の名手です。おそらく、横笛の名手でもあったと思います。
 
 新羅三郎義光は、奥州の乱に出兵した兄八幡太郎義家の応援のため足柄峠にさしかかったが、自分が戦死するかもしれないと、義光が笛の極意を授かった豊原時元の息子、時秋にこの塚に腰をかけて笙の笛の秘曲を伝授し、時秋を京に帰したと伝えられています。
 

常 盤 御 前(1138-?)

 

 常盤御前(ときわごぜん、保延4年(1138年) - 没年不詳)は平安時代末期の女性で、源義朝の側室 。阿野全成(今若)、義円(乙若)、源義経(牛若)の母。後に一条長成の継室。一条能成らの母。『平治物語』等の軍記物や『尊卑分脈』によれば、近衛天皇の中宮・九条院(藤原呈子)の雑仕女であったとされている。

 平治の乱で源義朝が敗れると、その残党狩りが行われ常盤は子供を連れて逃走しますが、母親が捕らえられと聞いて、助命嘆願のため自首します。平清盛は、常盤御前を子供達の助命嘆願と引き換えに、愛人にしてしまいました。清盛は常盤が妊娠すると興味を失い、一条長成という人物に与えてしまったといいます。清盛の子供は女児で、後に壇ノ浦まで平家と行動を共にしたものの、兄義経に助けられ、京に戻って公家の愛人になったといいます。常盤御前は一条長成との間にも、数人の子供を産みました。

 さて、上の子二人は直ちに寺に入れられ出家、赤ん坊だった義経は6歳になったら寺に入れられることと決まられ、鞍馬寺に預けられることになりました。

 牛若丸(義経)に母常盤御前が、『淋しくなったら、父上の形見の、この横笛を吹きなさい」と言って渡したのが、『薄墨の笛』であります。

(清水歴史探訪より)

 

^^^^^^^^^^^笛の音??(謎の音楽)^^^^^^^^^^^

 

 

これの内、主な物は国立博物館等で保存されていますが、鉄舟寺にも注目すべき文化財が保管されています。

 

「笛(市文化財)が伝わっているようですが、これはどうゆうゆかりの物なのでしょうか?」

「源氏の源頼朝、この一族中でやはり、義経、牛若丸と。私が子供の頃はね、牛若丸の笛、義経の笛と言っていましたけれどもね。これは非常に立派な笛で、音もね。非常にいい音が、蘇ってきたというような感じのする笛です。立派ないい音のする笛です。」

「この笛なんですけれども、実際に義経が使った物なのでしょうか?」

「これはね、お寺の言い伝えではね、久能寺縁起というね、このお寺に残った文化財の書物の中に立派にね、この笛は源義経のご寄進があった『薄墨(うすずみ)の笛』ということが書いてあったんです。

『京の五条の橋の上~ ~ 』と、昔はね、歌を歌いながら義経の偉大な力を、みなで称賛したものですよ。それからその義経についてくれた弁慶という武将と言うかお坊さんというか行者というかね。修業をして仏を守ることをした人、こういう人達が、鎌倉時代の戦をしていくわけですからね。この時代というのはすごい時代だったんでしょうね。」

 

市の文化財として、普段は厳重に保管されているこの笛を見せて頂くことができました。

 

「尋常小学唱歌(牛若丸)」
作詞者・作曲者ともに不詳。
 
京の五条の橋の上/大のおとこの弁慶は/
    長い薙刀ふりあげて/牛若めがけて切りかかる
牛若丸は飛び退いて/持った扇を投げつけて/
    来い来い来いと欄干の/上へあがって手を叩く
前やうしろや左右/ここと思えば またあちら/
    燕のような早業に/鬼の弁慶あやまった
 
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