清水区と駿河区の境に広がる有度山旧道。標高307メートルのその頂上一帯は、日本平として知られています。晴れた日には、目の前の清水港や三保の松原、富士山を始め、遠く伊豆半島や南アルプスまで一望できる景勝地です。この為、県立自然公園や国の名勝にも指定されています。また、この地形を活かして山頂にはラジオやテレビの送信所も建てられています。
観光客の乗用車やバスでにぎわう、土産物店の駐車場から山頂の展望台へと向かう散策路に足を踏み入れると、小鳥たちが賑やかに鳴き交わす、豊かな自然が広がります。
************ ピーピー(鳥の声) ***************
(清水歴史探訪より)
散策路の傍らに、和服の女性と洋服の少女が向かい合った小さな像が建てられています。この像の前で、観光客を相手に案内をしている方がありました。
「は~い、それでは今から『赤い靴の像』の説明をさせて頂きます。皆様は、どちらからいらっしゃいましたか?」
「大阪です。」
「大阪!ありがとうございます、お二人とも大阪ですか?じゃあ、『赤い靴を履いていた女の子』の歌はご存じですか?」
「はい、知っております。」
「では、宜しくお願いします。」
「歌いますか?」
「一緒に歌ってみましょう。それではいってみましょう。せーの、『赤い靴~はぁ~いてた~お~ん~な~の~こ』はい、これくらいにしましょうか。皆さんは知っていますか?実は、赤い靴で歌われている女の子は実在の人物なのです。」
「え~!!そうなんですか。」
「左側が赤い靴の女の子。岩崎きみちゃんといいます。お母さんが岩崎かよさんです。明治35年、すぐこの下の宮加三、今の宮加三というところ。清水区ですけどね、生まれました。事情がありまして、かよさんは---------------------------------」
(清水歴史探訪より)
観光客を相手に物語っていたのは、観光ボランティアガイド、駿府ウエイブの照澤香代子さんです。
「駿府ウエイブは、土曜、日曜、祝日に、四か所の定点ガイド活動をしています。駿府城公園の東御門、静岡浅間神社、駿府匠宿、そして日本平山頂です。皆、歴史が好きで、色々なことにも興味を持ってらっしゃるフレッシュな方々が多いです。全部で、90名近くのメンバーがいます。それぞれ生き生きと活動してらっしゃいます。」
「照澤さんはこの日本平が多いんですか?」
「はい、私、日本平動物園の近くに住んでいるために、日本平の当番になることが多いです。日本平の場合には、大体山頂の吟望台というところや、この赤い靴の像の所に立ってていて、ガイドをさせて頂いております。
ガイドのボランティアは、新しい出会い、一期一会、それから感動の心に役立ちます。案内の為の記憶や話術は、能の活性化に役立ちます。認知症の予防にもなりそうです。
それから立ったり歩いたりの体力勝負でもあります。脳の活性化と体力造りを併せ持った健康法だと自分では思っています。」
「そして日本平の色んなことをご存じだと思いますけれども、魅力あるところどんなところがあるでしょう。」
「一番はこの赤い靴の像が好きなんですが、なんといっても富士山と周辺の山、そして駿河湾のコントラストが素晴らしいと思います。
世界の文化遺産の構成資産となった三保半島も一望できます。
それから11月から2月の雪をかぶった富士山は一層素敵です。富士山が見えない日のガイドでは写真を提示して、『心の眼で見て~』とか。『また来てくださ~い』と、言っております。
そして日本平周辺エリアには、久能山東照宮はもちろんなんですけれども、日本平動物園、県立美術館、日本平スタジアム、それから風景美術館と銘打ったリニューアルされた日本平ホテル、それから茶畑と富士の景観もいいです。
それから徳富蘇峰が選定した展望台の碑があります。静鉄の狐ヶ崎ヤングランドのコマーシャルソングのちゃっきり節も懐かしい歌詞で、この歌碑が日本平のパークセンター、屋上にも建っています。」