(清水歴史探訪より)
「はい、そうです。外に出ますか」
「あ、外に出られるんですか」
「はい、出られます。ちょっと狭いので頭に気をつけて下さい。」
「狭いくぐり戸を抜けると、ここが外…あ、てすりの部分ですね。」
「ここまでくると天女を模した風見鶏がよく見えるかと思いますけれども。ここにしかないですね。日本全国灯台いっぱいありますけれども、ここにしかないです。」
「下に東西南北と方位が示されて、ずっとこれが海を見守ってくれているわけですね。」
(清水歴史探訪より)
外の回廊からは、まさに駿河湾が一望です。そして、引き寄せる潮風の中を天女が優雅に舞っていました。
螺旋階段を下りてくると、そこには100年前の名盤が残されていました。
「これは建設で一番最初の当時の名盤です。」
「明治45年3月1日、下はなんでしょうね」
「そうですね、初点灯ですね。」
「初点灯の日。明治45年3月1日に初めて火が灯ったという。この名盤が残っているということですね。」
「そのように反対側から、書かれておりますけれども。」
表には、新しい名盤も取り付けられています。
「入口の所に、平成7年3月初点、初点灯ですね。明治45年3月と刻まれているわけですね。」
「ちょうど平成7年3月をもってここは無人化になっております。」
「この揮毫(キゴウ)なさった方も」
「石井源助さん。一番最後の所長ですね。航路標識事務所の事務所長さん。灯台守。」
(清水歴史探訪より)
現在の灯台は機械が自動で管理しています。
「ここがコントロールルームみたいな形になるんでしょうか。」
「管制器室という風に言っておりますけれども、この中の機械が全て管理しているといいますか、灯台の灯りを管理して制御してそれから鳴ったら教えてくれる装置もあります。また停電になった時もとりあえず一昼夜、バッテリーでもたすことができるバッテリーも用意しております。それがこの管制器ですね。」
「現在の装置はシンプルなんですね。」
「そうですね、昔に比べればかなり多分シンプルだと思います。」
「今もこうして万全な体制で航路を守るわけですね。」
「そうです、いつ何があっても灯りを絶やさないということで、装置を付けております。建設当時から比べると、今は航海用の機器、GPSですとかレーダーですとかありますので、重要度的には落ちるとは思うんですけれども、それでも最終的にはやっぱり灯りです。
『目で灯りを見て確認して航行する』というのが船乗りの鉄則だと聞いております。
『今でも何かあった時の為に灯りは絶やさない』という精神、昔でいうと『守灯精神』という言葉がありますけれども」
「灯を守る」
「はい、そうです。その気持ちでメンテナンスをしております」
「GPSとか衛星とか色々な高度な技術が発達しても、やはり一番元々の灯りというのが大切なわけですか。」
「そう思います。ここの清水灯台は、大まかな位置を示す『沿岸灯台』という区分けの仕方をいたします。『沿岸灯台』は、昔に比べて、重要度というのは若干落ちてきている所があります。ただ最終的にはどうしても目で確認するというのが鉄則となりますので、灯を消さないように頑張っております。」