作業に当たっている西島誠さんに伺いました。
「茅葺屋根というのは、もう最近では見る事自体が珍しいと思うんですけれども、葺き替えの作業というのはやはり大変な所が多いんでしょうか?」
「そうですね、民家はほとんどなくてですね、文化財なんか世界遺産の白川郷なんかは有名なんですけれども、そういう所が茅葺のほとんどになりますね。」
「まずこの材料の茅自体があまり目にしなくなってしまったんではないかなと思いますが。」
「そうですね、昔はこの茅葺屋根が多くあったものですから、皆、茅場を近くに持ってたんですけれども、今は私共は富士山の御殿場ですね、東富士演習場に広い茅場がありますので、そちらの茅を使っております。
「今回23年ぶりの葺き替えということなんですけれども、茅葺というのはそんなに長持ちするんですか?」
「茅自体の物にもよるんですが、あと環境等も影響してくるんですが、葺き替えですと大体20年から25,6年くらいはもつといわれております。」
「この建物自体も古いんですけれども、この茅葺の建物の良い所というのはどんなことがあるんでしょう?」
「やはり夏は涼しく、冬は暖かい。非常に断熱性がありますし、雨の音なんかも静かで聞こえませんし、湿度も適度に保たれて非常に過ごしやすいといったところですかね。」
「では日本のこの環境には合うんですね。」
「そうですね、日本にはぴったり合っていると思います。」
「この作業に当たってらっしゃるお気持ちはいかがでしょうか?」
「そうですね、大変貴重な建物の葺き替え作業ということで、非常に注意を払いながらやっているんですけれども、檀家さんの皆さんがですね、毎日たくさんお手伝いに来てくれるものですから非常に助かっております。温かみを感じますね。」
屋根の上の作業現場を見せて頂きました。
「すみません、お邪魔します。」
「上がって下さい。」
「今、この屋根の古い部分というのはこの辺りは」
「あの古いやつも残っているんですけど、古い茅を引き出して腐ってるというのは、表面的な部分だけなんですね、引っ張るとまだ中の茅は使えるんで、引っ張り出した腐っている部分だけを切って、引っ張った分上がすかすかになるんで、そこに新しい茅を差しています。」
「では古い物を全部捨ててしまうんではなくて、使える所は利用しているんですね。」
「はい、使える所は残しています。」
-----------------ガサガサ ガサガサ ガサガサ(作業の音)----------------
「茅の音ですね。」
「やはりあの、今日は特に天気がいいので、茅は水はけが良い物ですからこういった乾いたぱりぱりとした音がしますね。」
-----------------ガサガサ ガサガサ ガサガサ(作業の音)----------------
古い歴史を伝え、また若者の恋も結ぶ龍華寺。茅葺の本堂は新しい衣を纏(マト)って新たな歴史を刻んでいくようです。
お話は副住職の小倉規敬さん、富士勇和産業の西島誠さんでした。